スズメの保護と飼育について・弱ったヒナを拾ったときにすること
※Pマークを取得しているので個人情報を適切に管理しています。
※Pマークを取得しているので個人情報を適切に管理しています。
一生に一度はあるかもしれない「スズメのヒナとの出会い」。道端に転がっているヒナを見つけた。道路の真ん中に落ちていたなど。弱っているスズメの姿を見て、思わず手を差し伸べた。なんて方も中にはいるのではないでしょうか。
元気になるまで育ててあげよう。なんて思っているうちに、ついつい情が沸いてしまう。そのままペットにして育てたいなんて思う方もいるのですが、実はスズメはペットとして飼うことができないのはご存知でしょうか。野生動物保護の観点から、一般の人がスズメなどの野生動物を飼うことは法律で禁止されています。
日本鳥類保護連盟という自然保護団体でも、「ヒナを拾わないで!!」キャンペーンというものをしています。スズメに限らず、野生の鳥を見かけても拾って育てないようにと注意喚起をしているのです。
それでもかわいそうなスズメのヒナを見かけたら、なんとかしてあげたいと思うのが人というものですよね。そこで今回の記事では、スズメの保護と飼育についてのお話をご紹介。スズメを見つけたときや拾ったときにすること、別れまでのお話をしていきます。
スズメを拾ってはいけない理由
まずは大前提としてのお話。スズメやそのヒナを見つけても、拾うことは極力さけてください。というのもスズメのヒナが道端に落ちているとき、多くの場合は巣立ち前のヒナだからです。
この巣立ち前のヒナとは巣立ちビナとも呼ばれるもので、巣から出て空を飛ぶ練習しているヒナのこと。近くにいる親鳥に、空を飛ぶことやエサの取り方を学んでいる最中のヒナです。まだ飛びはじめたばかりなので、うまく飛べずに落下して、道端などで動かずにいるというわけです。
この巣立ちビナの近くには、必ず親鳥がいます。なので人間が心配して手を差し伸べる必要がないのです。よく落ちているヒナを見て、「怪我をしたのかな?」とか「迷子になっているのかな?」と思う優しい人もいますが、それは多くの場合が間違いです。親鳥が近くにいるので、心配する必要はありません。
逆にヒナの近くに人間がいると、親鳥が警戒してヒナの近くにいけなくなります。スズメのヒナを見かけた場合は、構わず通り過ぎるようにしてください。
スズメを見つけてしまったら
スズメのヒナを見かけても、拾わないでそのままにするのが大前提。ですが落ちている場所が道路の真ん中だったり、野良猫などが近くにいて危険な場合。そんなときは、スズメを移動させてください。近くの木の枝の上など、ヒナの身が安全な場所に留まらせてから立ち去りましょう。
このときに注意なのが、できるだけ拾った場所の近くに留まらせてあげること。あとで親鳥がヒナの様子を見にやってくるので、親鳥が見失わない場所に留まらせることが大切です。ヒナの移動が終わったら、その場をすぐに立ち去るようにしてください。そのまま人がいると、親鳥が近寄れない可能性があります。
スズメのヒナを保護する場合
スズメのヒナが怪我をしていたり、衰弱していて命の危険がある場合。そういったときは、一時的にヒナを保護することも可能です。その場合は自治体の窓口に相談をして、指定の動物病院を紹介してもらうとよいでしょう。
またスズメを一時的に保護する場合、体調が回復するまでの間、自宅などで飼育をすることも可能です。ただしこれは簡単ではありません。あくまで一時的な保護になるので、あとで野生に返すことを考えながら育てる必要があります。
ヒナはたくさん栄養を必要とするので、数時間ごとにエサを与える必要があります。また野生にちゃんと帰れるように、エサを取る練習や、空を飛ぶ練習をさせるなど。スズメは生きた虫やミミズを食べるので、そうした生き物の捕まえ方を教えないといけません。
親鳥が面倒を見れない間、その代わりになるように巣立ちの練習をさせないといけません。ペットの世話とは違うことを頭に入れましょう。そうしないとあとで自然に帰したときに、スズメが生きていけなくなってしまいます。
スズメを自然に帰すとき
拾ったスズメの体調がよくなった、またヒナの巣立ちの時期になったら、自然に帰してあげましょう。ただし人の手で育てられたスズメをいきなり外に放すのは危険なので、徐々に慣れさせることが大切です。
家の中で羽ばたきはじめたら、窓を開けておくとよいでしょう。すると昼間は外へ出て、夜になると戻ってくるようになります。そうして空を飛んだり、外の環境に慣れさせてあげてください。外に慣れてくると、仲間を見つけてそのまま戻ってこないこともあります。スズメが戻ってこないと心配ですが、自然に帰ったと思うとよいでしょう。
スズメが人に懐いて、なかなか外に出たがらないこともあります。そうした場合はスズメをカゴの中に入れ、外へ連れ出してください。そうして外の世界に慣れさせて、巣立ちを促しましょう。
スズメを保護するときの注意
巣立ちが近くなったスズメは、好奇心が強くなります。家の中で放し飼いにしていると、あちこち飛び回って体をぶつけたりなど怪我や事故が多くなるので注意が必要です。家の中で飛ぶ練習をするときには、できるだけもののない場所で行うようにしてください。とくに家具の隙間に落ちて翼や足を痛めることがあるので、こうした隙間には入らないように新聞紙やタオルで塞いでおくとよいでしょう。
また人に懐くこともあり、足もとを歩き回ったり、寝ている布団に入ってくることもあります。知らず知らずのうちに近づいてきたスズメを、踏み潰してしまったり、下敷きにしてしまう事故も多々あります。
スズメを飼育する場所にも注意が必要です。日当たりのよいところにと、スズメのいるカゴを窓際に置くのはNGです。スズメは長時間日に当てられると、日射病や熱中症を引き起こす可能性があります。スズメを飼育する際は、日当たりのないところを選んでください。
また水の与え方にも注意が必要で、カゴの中に水入れを置くときはスズメの体よりも小さいものにしてください。コップやお皿など大きいものだと、スズメが溺れてしまう可能性があります。器は体より小さく、浅いものを選ぶようにしてください。
野生動物の保護について考える
スズメに限らず、弱っている動物を見つけたら助けたくなるのが人というもの。ですが保護したあとに育てるのは大変ですし、自然に帰すにも苦労があります。
また拾ったスズメが元気に育つとも限らず、中には保護したけれども死んでしまったケースも少なくありません。エサを与える頻度が少なかったり、巣立ちの練習がうまくなかったり。親鳥の代わりになるにしても、やはり人間では限界があります。自然界では元気に生きていたかもしれないスズメを、死なせてしまうかもしれません。
そうした面からも、野生のスズメは、できれば見つけても拾わないのが一番です。野生動物はペットと違い、飼育が難しいのが現状。エサを与えて飼うだけでは、自然に帰すことはできません。それでもかわいそうだと保護する場合は、覚悟と責任を保つことが大切です。巣立ち前のヒナであれば、親鳥の代わりになるということを頭に入れてから拾うようにしましょう。怪我をした大人のスズメであれば、自治体に相談してから動物病院へ連れて行ってください。
※ページ内に掲載されている料金は作成日当時のものです。状況や時期により実際の料金とは異なる場合がありますので、詳細は電話でお問い合わせください。