野生のムクドリの雛を保護したら?育て方や対処方法のご紹介
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みなさん、こんな経験はありませんか。庭やベランダに、野生のムクドリが巣を作っていた。公園を散歩していたら、巣から落下してしまったヒナがいたなど。ムクドリのヒナは見た目も可愛いし、そのまま放置するのもかわいそうなので育てたい。そんな風に思う方もいるのではないでしょうか。
とはいえ、ムクドリは害鳥としても有名。夕方に大群となって空を飛んでいたり、うるさい鳴き声や糞害は地域問題になることもしばしばです。なにかと厄介なムクドリのヒナに出くわしたら、いったいどうすればいいのか。そんな疑問を、今回の記事で解決していきます。
そもそもムクドリを飼っていいのか?
そもそもの疑問として、ムクドリを個人で飼育していいのかという問題があります。知っている方もいるかもしれませんが、日本では野生動物の飼育は禁止されています。これは鳥にもいえることで、弱った鳥獣を保護したとしても、あとで役所に届出を出して自然に返さないといけません。違反すると罰則もつくので、大変注意したいところです。
ボランティアの保護であればギリギリOK
ではムクドリのヒナを見つけたら、そのままスルーしなくてはいけないのか。弱っていてかわいそう、死にそうなのに放置するのか。と心を傷まれる方もいるかと思います。が、保護目的であれば、かろうじて飼育はOKです。巣から落下して弱っているヒナや、家の敷地に巣があるなど。こういった場合の、一時的な飼育であれば法律に違反することはありません。
ただしこのこの場合、「あくまでも保護目的の飼育」ということに注意しないといけません。可愛いからといって飼い続けると、法律に違反してしまいます。弱っているヒナであれば、状態が回復してから自治体に引き取ってもらう必要があります。また家に巣を作られた場合は、巣立つのを見守るに行動を止める必要があります。健康なムクドリをそのまま家で飼い続けることはできません。
捕まえて育てるのはNG
上記と重複しますが、ムクドリを捕まえて飼うのはNGです。飼育目的の捕獲は法律違反になります。近所の公園で見つけたヒナや卵を持ち帰るなどはもってのほか。あくまでも保護ということを忘れないようにしましょう。
保護したムクドリ・雛の育て方
それでは本題、ムクドリやヒナを見つけてしまったときのお話をしていきましょう。まずムクドリのヒナや巣、卵を見つけたときの行動です。
①触るときは手袋を着用
ムクドリに限らず、野生動物に触るときは手袋を着用しましょう。素手で触ると、人間の臭いがムクドリに移って、野生に帰りにくくなります。またムクドリなどの野生の鳥には、ダニが多くついていることも。感染症の危険もあります。健康を害する危険があるという面でも、ムクドリを素手で触るのはNGです。
②弱った雛は温める
弱ってしまったヒナは、温めてあげる必要があります。まずはムクドリを飼育する部屋の設定温度を26度にして温めてください。次にムクドリを飼育するための箱やケージを用意して、中に入れます。そのあとはペットボトルにお湯を入れたものを箱やケージに入れて、温めてあげます。このときの温度は、25度〜30度が目安です。
③餌をあげる
次にムクドリへのエサのあげ方です。まずコンビニなどでドッグフードを買ってきます。それからドッグフードをお湯でふやかし、どろどろの液状にしてください。ドックフードがお湯で液状になったら、スポイトなどで口に入れて与えます。このとき、焦らずゆっくり・少しずつ与えるのがポイントです。
ムクドリが元気になったら、また成長してきたら果物や葉物野菜を与えるのもOKです。ただしその場合、口の中に押し込んだりせず、自分で食べられるようになったらあげましょう。
注意したいのは、パンやご飯、牛乳を与えること。これらは消化できないので、与えないようにしてください。そのほか生米、雑穀などもNGです。
ムクドリが大きくなってきたら、エサを自然のものに変えるのがベスト。本来ムクドリはドッグフードなんて食べません。自然に帰っても食事ができるように、ミミズやバッタ、コオロギなどのを与えてください。こういった虫類を自分で捕まえてくるのが大変な場合は、ペットショップなどでもエサ用の虫が販売されているので買ってください。虫は気持ち悪くて…という方は、そもそもムクドリの保護に向いていません。自分で育てようとはせず、保護団体に任せるのが無難です。
④元気になったら野生に戻す
ムクドリが元気になったら、野生に返してあげましょう。ムクドリの生息地へ離すか、自治体のボランティア団体に相談してください。
⑤野生に戻したあとの巣は処分
ムクドリが野生に帰ったあとは、巣や育てていた箱は処分しましょう。先述の通りムクドリの体には、ダニがたくさんついています。また感染症などの心配もあるので、処分できるものは処分してください。ケージなど捨てられないものは、アルコール消毒するとよいです。こうしたせっかくの思い出の品を処分してしまうのは悲しいですが、ご自身の健康のためにも適切に処置してください。
ムクドリが巣立つ時期
ムクドリが巣立つのは、孵化から約1ヶ月。巣立ちの時期になると、ヒナも飛ぼうとしはじめます。この時期は親鳥と一緒に飛ぶ練習やエサを捕まえる練習をするので、保護した方も付き合ってあげるとよいでしょう。
ムクドリは懐くのか
ここまできて気になってくるのが、ムクドリは懐くのかというところ。献身的に保護しても、懐いてくれないと寂しいところです。で、結論からいくと、ムクドリには懐く個体もいます。野生動物なので多くが人に対して警戒心を持ちますが、ヒナから人間に育てられたムクドリは人にも懐きます。中には近くに寄ってきたり、服などを引っ張ってかまってほしいと訴えかけてくる個体も。ムクドリの全てがそうではありませんが、そうした可愛らしい一面を見せてくれる個体もいます。
ただこう懐かれると、保護している人間の方がムクドリ離れできなくなることも。あくまでも保護目的ということを意識し、巣立ちの時期には素直にお別れをしてください。ペット感覚で懐いてしまうと、ムクドリも人も悲しい気持ちになってしまいます。そういった意味ではある程度の距離感をもって接する方がよいかもしれません。
鳥獣保護ボランティア制度
育てたムクドリから離れられない、もっと長く飼育したい。そんな方にちょっとおすすめなのが、「傷病野生鳥獣保護飼養ボランティア制度」です。これは各自治体に設置されているもので、怪我や病気で弱った野生の動物や鳥をボランティアが保護・飼育するという制度です。
普通だとケガや病気をした野生動物は、野生鳥獣保護ドクターのもとに運ばれ、状態が回復するまで療養します。ですが回復に時間がかかる場合、このドクターだけでは面倒を見切れないこともしばしば。そんなときに、このボランティア制度に登録している方が、ドクターに代わって面倒をみるというわけです。
この制度に登録していると、ムクドリに限らずさまざまな野生動物の保護を頼まれます。保護した動物とずっと生活できるわけではありませんが、こうした制度で一時的に預かることが可能です。困っている動物を育てるという面ではやりがいがあることは確か。ただし、エサを与えたり体調管理をしたり、野生に返すなどの責任感の伴う仕事です。
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