ブレーカーのトリップってなに?仕組みと原因から対処方法まで徹底解説
ブレーカーのトリップとは、ブレーカーが落ちることをいいます。ブレーカーがトリップすると、電気が止まるため停電になります。また、トリップしたブレーカーの種類によって、停電する場所は変わります。
ブレーカーがトリップする理由はいくつか考えられますが、原因を解決しないままブレーカーを上げても、再びトリップする可能性があります。
もし、周りの家は明るいのに自宅だけ停電している場合は、原因を調べて対処しましょう。
この記事では、以下の内容について解説します。
- ブレーカーのトリップとは何か
- ブレーカーがトリップする(落ちる)原因や対処法
- ブレーカーの仕組みと役割
- ブレーカーの劣化で起きるデメリットやリスク
ブレーカーがトリップして困っている人やブレーカーの基礎知識を身につけたい人は、ぜひ参考にしてください。
ブレーカーのトリップとは?
ブレーカーがトリップするとは、何らかの原因により電気を遮断することです。一般的には、「ブレーカーが落ちる」と呼ばれており、電気が止まるため停電状態になります。
ブレーカーは電気を遮断することで、その後のトラブルを防ぐ役割があります。ですから、ブレーカーがトリップした場合は、原因を見つけて問題を解決してください。
ただ、ブレーカーがトリップする原因はたくさんあるので、順番に確認していくことが重要です。ブレーカーが落ちる原因については、別の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
トリップの原因について
ブレーカーがトリップする原因は、主に4つ考えられます。
- 電気の使い過ぎ
- 落雷
- 漏電
- 分電盤の寿命
では、それぞれ簡単に解説していきます。
電気の使い過ぎ
ブレーカーがトリップする原因で、一番多いのが電気の使い過ぎです。一度にたくさんの電化製品を使うと、大きな電流が流れるためブレーカーが電気を遮断します。
電気の使い過ぎでトリップするブレーカーには、2つの種類があります。
- アンペアブレーカー:家の中全体を担当する
- 安全ブレーカー:主に部屋ごとに分かれている
家の中全体で使っている電流が、電力会社と契約しているアンペア(電流の単位)を超えてしまうと、アンペアブレーカーがトリップするため、家中が停電になります。
一方、安全ブレーカーは部屋ごとに分かれていることが多く、各回路で過電流が流れてトリップした場合は、その部屋のみ停電になります。
一時的な電気の使い過ぎは、電化製品の使い方に気を付ければ防ぐことができます。
落雷
近くで落雷が発生すると、非常に高い電流や電圧の影響を受けて、漏電ブレーカーが誤作動してしまいトリップすることがあります。
最近では対策されている種類も多いですが、古いタイプの漏電ブレーカーは、トリップが起こりやすいです。
漏電
漏電とは、電気が流れている途中でどこかへ漏れてしまうことです。本来は一定であるはずの電流の変化を感知することで、漏電かどうかを判断しています。
漏電が起こった場合に、電気を遮断する装置を漏電ブレーカーと呼びますが、アンペアブレーカーに漏電を検出する機能が備わっている場合もあります。
漏電を調べる方法については、別の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
漏電ブレーカーが落ちる場合は、まず漏電している場所を調べます。もし、どこかが破損しているようなら修理や交換が必要になります。
分電盤の寿命
分電盤とは、各ブレーカーをまとめて入れてある箱です。使用している環境によって変化しますが、分電盤の寿命は約13年と言われています。
電気のトラブルを防ぐための装置ですので、故障する前に交換することをおすすめします。
電気機器の故障
電気機器が故障したことでショートを起こすと、ブレーカーがトリップすることがあります。ショートとは、コードの破損や絶縁体の劣化などが原因により、プラスとマイナスの電気回路が抵抗のない状態で接してしまうことです。火災の原因にもなるため、故障した家電製品や破損したコードは使用しないようにしましょう。
ブレーカーの種類とトリップの対応方法
トリップの原因も分かったことで、ここからは実際の対処方法について解説していきます。各家庭の住宅用分電盤の中には、3種類のブレーカーがあり、左からサービスブレーカー、漏電ブレーカー、安全ブレーカーという配置です。そして、各ブレーカーによってトリップの対処方法が異なってきます。
アンペアブレーカー
アンペアブレーカーとは電力会社と契約した電気総量を管理し、契約アンペア数の電流を流すブレーカーです。「30A」「40A」など、あらかじめ決められた契約以上の電力の電気を使用するとブレーカーが落ちるような仕組みになっています。
最低料金制となる関西電力、中国電力、四国電力、沖縄電力と契約している場合や、電気使用量をデジタル計測する「スマートメーター」を導入済みの家庭にはサービスブレーカーはありません。
対処方法
契約しているアンペア数を超えた電力が使用されていることが考えられます。
アンペアブレーカーはスイッチを上げる事で戻ります。しかし、落ちる前までに使用していた電化製品のスイッチをオフにしたりコンセントを抜いておくなど染ましょう。そうしないと電力が復旧しても戻した瞬間にブレーカーが落ちてしまいます。
また、頻繁にアンペアブレーカーが落ちてしまう場合は契約電力が不足している可能性もあるので、契約電力を増やすことも検討しましょう。
漏電ブレーカー
漏電ブレーカーとは配線や家電製品などの漏電を感知して遮断することで漏電事故を防ぐための役割を持ったブレーカーです。別名、漏電遮断器とも呼ばれ、漏電による火災や事故を未然に防ぐための役割を担っています。
サービスブレーカーがない家庭の場合、分電盤の左に漏電ブレーカーがあります。漏電ブレーカーが落ちると、家全体の電気が止まります。
対処方法
漏電ブレーカーが落ちている場合、どこかで漏電が発生している可能性があります。漏電ブレーカーが落ちている場合は火災や事故に繋がる恐れがありますので慎重に対応しましょう。
漏電ブレーカーが落ちている場合は、安全ブレーカーも全てOFFにします。漏電ブレーカーをONにしたら、次に安全ブレーカーのスイッチを一つずつ順番に入れていきます。
安全ブレーカーをONにした時に漏電ブレーカーがOFFになった場合、その安全ブレーカーが繋がっている部屋で漏電が起きています。漏電が発生している部屋の安全ブレーカーはONにして、漏電が起きている箇所の安全ブレーカーはOFFにしたままにしておきます。漏電をご自身で修理するのは危険なので、そのままにして専門業者にお願いするようにしてください。
漏電の場所の特定をより詳しく知りたい方は下記の記事も合わせてご確認ください。
安全ブレーカー
安全ブレーカーとは、別名「配線用遮断器」と呼ばれ、分電盤から部屋に電気を送るためのブレーカーです。契約している電力は各部屋ごとに決められています。
いくつかの小さなスイッチから構成されており、それぞれに対応する部屋・場所でショートした時や家電製品のコードが故障した時、過電流が流れた時に、電線を保護するために電気を遮断します。
対処方法
安全ブレーカーは一つに使用できる電力の上限が定められており、その電力の容量を超えた時に安全ブレーカーは落ちてしまいます。全体の契約アンペアは超えてはいなくても、一か所で集中して電力を使用した時などに安全ブレーカーは落ちてしまいます。
安全ブレーカーが落ちた時には、対象の部屋で使用している家電製品のスイッチを切ったりコンセントを抜いた状態で安全ブレーカーのスイッチを元に戻しましょう。そのまま安全ブレーカー戻すと、また落ちてしまいますので気をつけてください。また、部屋で同時に使用している電力の見直しをして使用電力を抑えるようにしましょう。
より詳しく原因と各ブレーカーの対処方法を知りたい方は下記の記事も合わせてご確認ください。
なぜトリップさせるのか?
ここまでは、原因と対処方法を解説してきましたが、なぜブレーカーをトリップさせる必要があるかということについても解説していきます。
ブレーカーには、電気を遮断することでトラブルを防ぐ役割があります。では、もしブレーカーがトリップしなかった場合を考えてみましょう。
ブレーカーがトリップしなかった場合、起こりえるトラブルは主に3つあります。
- 電化製品や配線の破損
- 感電
- 火災
では、それぞれ簡単に解説していきます。
電化製品や配線の破損
もし、過剰な電流が配線に流れた場合は、電線が発熱し破損してしまう可能性があります。また、電化製品に過剰な電圧がかかってしまった場合は、故障の原因になります。
感電
家のどこかで漏電している場合、その場所に触れることで感電します。また、感電した時の状況によっては、命に関わる可能性があります。
特に、水に濡れている場合は、電気を通しやすいため注意してください。
火災
配線や電化製品などに過剰な電流が流れると発熱し、燃えてしまうことがあります。もちろん、漏電も同じことが言えます。
一度火が出てしまうと、近くのものに燃え移ってしまうため、被害が大きくなります。ブレーカーは、これらのトラブルを防ぐために設置しています。
ブレーカーの劣化で起きるデメリットやリスク
ここまでの説明のように、ブレーカーは安全に電気を使うために必須の装置といえます。万が一、老朽化してブレーカーが正常に動かなくなった場合、次のようなデメリット・リスクが起こる可能性があります。
漏電による感電のリスク
ブレーカーが故障してしまうと、漏電が発生していても感知できなくなってしまいます。
漏電が起きている時、電気が本来の回路から外に逃げている状態ですので、電気の通り道以外にも電気が流れます。万が一、漏電した状態で電線や家電製品に人が触れてしまうと、感電してしまう恐れがあるのです。
アース(接地工事)をしていれば、漏電した時に漏れ出た大半の電流は、アース線を通して地中に流れるため、感電の際の影響を最小限に抑えることが可能です。
火災事故のリスク
分電盤やブレーカーは電気設備ですので、接続部分の不良などが原因で加熱し、高温になることがあります。
それに加え、絶縁体の不良により漏電すると、可燃物に電気が流れて火災事故に繋がる恐れがあります。この場合の可燃物とは、カーテンやカーペットのほか、空気中のホコリなども該当します。
劣化したブレーカーを使い続けるのは大変危険です。一般的なブレーカーの寿命は10年程度ですので、古くなったブレーカーは交換するようにしましょう。
ムダな電気代がかかる
ブレーカーが故障していると、頻繁にブレーカーが落ちる現象が起こる可能性があります。
特に、漏電ブレーカーが頻繁に落ちるケースでは、漏電が起きている可能性が高いため注意が必要です。
漏電によりムダに消費電力が大きくなると、電気料金が高くなる恐れがあります。漏電ブレーカーに不具合が生じたら、一刻も早く業者に修理してもらいましょう。
ブレーカーが上がらない場合は業者に連絡しよう
ここまで、ブレーカーがトリップする原因や対処法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?ブレーカーの仕組みと分電盤の基礎知識についても理解できましたか?
ブレーカーがトリップした場合は、まず原因を考えて対応します。もし、再度ブレーカーがトリップするようなら、専門業者に調べてもらいましょう。
通常ならば、ブレーカーは電気を安心して使うための安全装置といえますが、劣化により故障すると、その機能を果たさなくなります。
ブレーカーの故障を放置しておくと、感電や火災事故の危険性があるため、異常を感じたら専門業者に点検してもらうことをおすすめします。
感電の危険性があるため、間違っても無理やりブレーカーを上げたり、自分で電気設備の修理や交換をしないでください。
『街の修理屋さん』では、ブレーカーのトリップ対応なら5,500円~、分電盤やブレーカーの修理・点検・交換なども承っております。【お見積もり】は無料で行いますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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