ムクドリとヒヨドリの7つの違いと見分け方
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みなさんは「ムクドリ」と「ヒヨドリ」の違い、わかりますか。「最近ムクドリが多くて、鳴き声がうるさいのよね」「ヒヨドリのフンがたくさんで困っている」そう悩んでいる方。それ、実は思っている鳥とは違いかもしれませんよ。
街や住宅街でもよく見るムクドリとヒヨドリ。身近な存在である2つの鳥ですが、似ているためにたびたび混同されてしまうことも。ムクドリの被害で悩んでいるとお伺いしてみても、実はヒヨドリだったなんて事例はたくさんあります。
そこで今回の記事では、ムクドリとヒヨドリの違いを7つのポイントにわけてご紹介していきます。
分類
まずは学術的なお話。ムクドリもヒヨドリも、同じスズメの仲間です。生物分類学でいうと、「スズメ目(もく)」に属しています。その中で、ムクドリは「ムクドリ科」、ヒヨドリは「ヒヨドリ科」に分けられます。さらに細かく見ていくと、ムクドリはムクドリ科のムクドリ属、ヒヨドリはヒヨドリ科のヒヨドリ属になります。
人間とチンパンジーでいうと、ムクドリはサル目ヒト科のヒト属になり、ヒヨドリはサル目ヒト科のチンパンジーになります。大きな分類は一緒、見た目も似ているのですが、ヒトとチンパンジーが違うように、ムクドリとヒヨドリにもさまざまな違いがあります。
見た目
なんとなく似ているようなムクドリとヒヨドリですが、よく見ると結構な違いがあります。まずは大きさですが、ムクドリが全長24センチほどに対して、ヒヨドリは27.5センチほど。比べてみると、大きさがずいぶんと違います。
また色にも違いがあり、ムクドリはクチバシと足が黄色に対し、ヒヨドリは黒い色をしています。どちらも全体的に灰色の体ですが、ムクドリの方がやや黒っぽく、ヒヨドリが茶色っぽい色です。またムクドリは頬が白く、ヒヨドリは赤褐色色をしています。
尻尾の違いも特徴的で、ムクドリは短く、ヒヨドリは長くなっています。
鳴き声
鳴き声が違うのも、ムクドリとヒヨドリです。ムクドリは「キャー キャー」「キュル キュル」「ギュル ギュル」というような鳴き声。ですがヒヨドリは、「ピー ピー」「ピーヨ ピーヨ」というように鳴きます。
比べてみると、ムクドリは詰まったような感じで、ヒヨドリはのんびりしている感じがします。
歩き方
ムクドリとヒヨドリには、歩き方の違いがあります。ムクドリは足を交互に出して歩きますが、ヒヨドリはぴょんぴょんと跳ねて歩きます。
群れ
ムクドリは群れを作ることで有名ですが、ヒヨドリは群れを作りません。ムクドリは多くなると1,000以上の群れを作りますが、ヒヨドリは単体空を飛んでいます。
食べ物
ムクドリとヒヨドリには、食べるものにも違いがあります。どちらも主食は木の実や果物、昆虫などを食べます。ですがヒヨドリはそれに加えて、花の蜜を食べる習性があります。これはムクドリに比べて、ヒヨドリが甘いものを好む傾向にあるからです。
繁殖
ムクドリとヒヨドリは、繁殖にも違いがあります。まずムクドリの繁殖期は、春から夏にかけて。月にするとだいたい3月から7月の間になります。一方のヒヨドリは初夏から秋にかけて。だいちたい5月から9月ごろになります。
卵の色にも違いがあり、ムクドリは薄い青緑。一方のヒヨドリは薄いピンクで、赤っぽい斑点があります。繁殖期に産む卵の数も違いがあります。その数は、ムクドリは4個〜7個、ヒヨドリは3個から5個です。
またヒナの見た目にも違いがあります。ムクドリのヒナは産毛が生えてくると全体的に黒っぽく、口を開けたときの中が黄色いのが特徴。ですがヒヨドリは口の中が赤くなっています。
ムクドリとヒヨドリには、巣を作るところにも違いがあります。ムクドリは木にできた空洞や人の家の雨戸や屋根の隙間に巣を作ります。一方のヒヨドリは、木の枝に巣を作ります。特に都市部のムクドリだと、人家に巣を作ることが多くなっています。
ムクドリとヒヨドリの見分け方
ではここで、ムクドリとヒヨドリの見分け方をおさらいしてみましょう。比べてみるとずいぶんと違うことがわかります。
ムクドリ | ヒヨドリ | |
大きさ | 約24センチ | 約27.5センチ |
色 | 足:黄色 クチバシ:黄色 頰:白 | 足:黒 クチバシ:黒 頰:赤褐色 |
尻尾 | 短い | 長い |
鳴き声 | キャー ギャー キュル ギュル | ピー ピー ピーヨ ピーヨ |
歩き方 | 足を交互に | ぴょんぴょん跳ねる |
群れ | 作る | 作らない |
ムクドリとヒヨドリを見分けるポイントは、なんといっても色と群れ。クチバシと足の色が黄色ければムクドリです。それ以外の色だと、ヒヨドリか別の鳥になります。また大群で空を飛んでいたり、電線に留まっているのもムクドリということになります。
ムクドリとヒヨドリの共通点
番外編で、ムクドリとヒヨドリの共通点も見ていきましょう。
野生の鳥
まずは当たり前のところになりますが、ムクドリもヒヨドリも野生の鳥「野鳥」です。どちらも身近な鳥ですが、人が手を出してはいけないことになっています。たとえばムクドリやヒヨドリの巣を見つけて持ち帰ったり、捕まえて育てることはできません。これは鳥獣保護法によるもので、野生動物の乱獲や絶滅を防ぐための法律です。
天敵
ムクドリとヒヨドリの天敵は、都市部であれば主に野良猫とカラスです。カラスも猫も雑食なので、ムクドリやヒヨドリを襲って食べることがあります。とくに卵やヒナはカラスに狙われやすくなっています。都市部を離れた山林だと、タカやハヤブサなどの猛禽類、蛇などが天敵です。
ただしこの天敵に襲われる確率には、ムクドリとヒヨドリで違いがあります。これは群れで行動するムクドリのほうが狙われにくく、単体のヒヨドリのほうが狙われやすくなるからです。またムクドリの方が飛翔力があり、ヒヨドリにはないため、ヒヨドリの方が捕まえられやすくなっています。
害鳥扱い
ムクドリもヒヨドリも、人間社会では害鳥扱いされてしまう可哀想な鳥でもあります。とくに都市化したムクドリの被害は有名で、群れによる騒音被害や糞害は地域の人々を悩ませています。大量に落ちた糞や羽を吸い込み、健康被害が出てしまうこともあります。
一方のヒヨドリは、農作物を荒らす害鳥としての面があります。これは畑に実った野菜や果物を食べてしまうからです。ムクドリもヒヨドリも、場所によって害鳥扱いされているわけですね。
懐く
ムクドリもヒヨドリも野鳥なので飼えませんが、人に懐く鳥です。とくにヒナから育てると、人の手や肩に飛び乗ったり、人の手からエサを食べるようになります。また人に甘えてつついたり、服の裾をつかんで引っ張るような仕草をすることもあります。
一時的な保護・飼育はOK
ムクドリやヒヨドリを捕まえて飼うことはできませんが、保護して一時的に育てることは可能です。たとえば怪我をして飛べない状態の大人の鳥や、巣から落ちて動けなくなっているヒナ鳥など。そのままでは野生に戻ることが困難なムクドリやヒヨドリに限って、人が保護して育てることができます。ただし野生に戻れる状態になったら、野生に返さないといけません。
また一般の人がムクドリやヒヨドリを飼い続けることはできませんが、許可があれば飼育は可能です。この許可は自治体などが出すもので、主に動物園での飼育や観賞用の許可になります。ムクドリやヒヨドリを飼いたいと一般の人がいっても、許可はまずおりません。
※ページ内に掲載されている料金は作成日当時のものです。状況や時期により実際の料金とは異なる場合がありますので、詳細は電話でお問い合わせください。