スズメの巣は身近にある?家や街で見る野鳥の子育て
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木の枝に留まっていたり、電線に並んでいたりベランダの手すりにいたり。スズメは日本人にとっても、古くから馴染みの深い野鳥です。茶色くて丸くてもふもふした姿は、可愛らしく絵になります。写真やイラストの題材になったり、キーホルダーやぬいぐるみなどのグッズになることもしばしばです。
日本人であれば何度となく見たことのあるスズメ。ですがその巣を見たことがある人は、少ないのではないでしょうか。大きく成長した姿を見たことはあっても、巣や卵、ヒナを見る機会はまずありません。
そこで今回の記事では、スズメの巣についてご紹介。スズメはどこに巣を作るのか、卵やヒナはどこにいるのかなど。スズメの子育てを交えてご説明していきます。
スズメの巣は隙間に作られる
街や住宅地で見るスズメですが、巣はほとんど見たことがありませんよね。
「見ないということは、人のいない森や山に巣を作って、大きくなってから人のいる街にくるのかも?」
そう思っている方もいると思いますが、実はこれ、半分間違いです。スズメは人のいる街中や住宅地にも巣を作りますが、見えないところに作るので人が気づきづらいのです。
ではその見えないところはどこかというと、住宅地であれば人家の隙間です。具体的にどこかというと、たとえば屋根瓦の間。ほかにも床下の通気口や、軒先の剥がれた天井裏など。こうした見えないところに巣を作るので、人目にはつきにくくなっています。中には換気扇の穴や、エアコンのダクト様の穴、室外機の裏や下に巣を作るスズメもいます。森の中で巣を作って街に出てくるスズメもいますが、都市型のスズメなどはほとんどこうした人の家の隙間に巣を作って子育てをしているのです。
「家に巣があったら気づくのでは?」そう思う人もいるかもしれませんが、これが案外気づきにくいものです。人は家の外でスズメの鳴き声がしても、まさか巣があるとは思わないもの。また普段は見ない屋根の隙間や天井裏では、スズメがいてもわかりません。たとえ物音がしたとしても、わざわざ見に行く人もあまりいません。
人家ではなく街中だと、電線の腕金や橋桁、街灯や看板の隙間などのさまざまなところに巣を作ります。人家よりも人目につきにくいこうした隙間で、スズメは子育てをしています。
スズメはひとの巣を借りる
スズメはひとの巣を借りて子育てをすることがあります。といってもこの「ひと」というのは、人間ではありません。別の鳥や生き物の巣を自分の巣として使うのです。代表的なのはツバメの巣。ツバメが巣立って使われなくなった巣に卵を産み、子育てをすることがよくあります。スズメにとってはツバメの巣も隙間のようなもの。軒先にできたツバメの巣をよく見たら、スズメがいたなんていうのは珍しくありません。
またスズメは、ハチの巣を使うこともよくあります。もちろんハチがいる状態で巣にすることはありませんが、冬になり空になった巣を寝ぐらとして使うことはよくあります。
スズメの繁殖期
スズメは一年中日本にいる固有の鳥ですが、繁殖期は決まっています。それは春から秋までの3月から8月ごろ。この時期に巣を作って卵を産んで子育てをします。
スズメはツガイで巣を作り、年に2回繁殖します。この時期に夫婦で手頃な隙間を見つけて、巣を作ります。産んで育てる卵の数は、1つの巣に4個から8個。平均すると5、6個です。卵の色は灰色に近く、茶色の斑点模様があります。大きさは小さく、縦が2センチ前後で横が1センチから1.5センチ。見た目や大きさはうずらの卵に似ています。
スズメの子育て
1.巣作り
スズメはツガイで巣を作るので、群れで子育てすることはありません。まずツガイになって巣になる場所を探し、見つけたら巣を作ります。巣は主に植物で作られ、稲などの枝葉や小枝、羽毛などで作ります。巣は外側と内側で材料も少し違い、強度が必要な外側は硬いもので固め、内側に柔らかい羽毛や草を敷くことが多くなっています。特に産卵が近いと羽毛や動物の毛を集めるようになります。
2.産卵
産卵がはじまったメスは、1日に1つの卵を産みます。これが平均で5、6個、多いと8個になります。最後に産んだ卵を止め卵といって、この卵は他の卵に比べて色が白かったり模様が変わっていたりします。この止め卵を産んだあと、スズメはツガイで卵を温めるようになります。止め卵は卵を温める合図のようなもので、繁殖期に産んだ卵を均等に育てさせるためと考えています。メスが産む卵は1日1つなので、1日目から温めはじめると、最初と最後で孵化する時期がズレてしまうからです。
3.温め
卵を温めてから孵化するまでは、10日ほどと言われています。この間ツガイで交互に卵を温めますが、メスの方がその割合は多いようです。これは産卵したメスの身体の変化に理由があると考えられます。どういうことかというと、散乱したメスはお腹の毛が抜けて、卵を直接体温で温める様になるからです。これを抱卵斑というのですが、オスにはこの抱卵斑はありません。またスズメは卵を温めている間はエサを食べないので、スズメのメスがエサを取りに行っている間、オスが卵を温めているようです。ちなみに卵を温めている間、もう一方のツガイがエサを運んでくるということはありません。
4.孵化
スズメの卵が孵化すると、ツガイはヒナにエサを与えます。人間などの哺乳類と違って母乳が出るわけではないので、ヒナは親鳥と同じようなエサを食べます。その内容は、木の実や昆虫など。とくにヒナは栄養が必要なので、アオムシや殻の柔らかい昆虫を与えることが多くなるようです。ヒナはエサをよく食べるので、ツガイは1日に何度もエサを運びます。研究結果によると、1日に50回もエサを与えていたとの記録もあります。
5.巣立ち
スズメのヒナは孵化してから、約2週間で巣立ちをします。孵化からすくすくと成長し、巣立ちの時期が近づくとエサを取る練習や空を飛ぶ練習がはじまります。たとえば親鳥と一緒にエサ場へ生き、エサを取る姿をヒナに見せる。ヒナに親鳥を追いかけさせて、飛ぶ練習をさせるなどです。またほかのスズメのところへ行って、仲間とのコミュニケーションの方法を教える。猫などの天敵からの身の守り方を教えるなどです。こうして野生で暮らす方法を身につけてから、ヒナは巣を離れていきます。
スズメの減少
身近なところで巣を作り、子育てをしているスズメ。ですが近年では、その数は減少しています。スズメは身近すぎて研究があまりされていませんが、それでも1990年ごろから減少傾向にあり、2007年では1990年ごろの半分の数になっているというデータがあります。
スズメが減っている理由はさまざまありますが、一番として考えられるのが巣を作れる場所の減少です。スズメは先述のように家の隙間などに巣を作るのですが、最近の家は断熱効果を高めるために隙間がほとんどありません。特に隙間のできやすい瓦屋根の家は作られなくなっているので、巣を作れずにスズメの数も減っています。
またエサ場の減少も、スズメの減る原因になっています。都市部や住宅地のスズメは、空き地に生えた草や、そこにいる昆虫などを餌にしていました。ですが近年では空き地がなくなり、住宅や駐車場になったり舗装されいます。こうしたことからエサを取れなくなり、数が減少しています。
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