エアコンのドレンホースとは?その役割や水漏れ・害虫などのよくあるトラブルを徹底解説
近年、夏の気温は30℃超えが当たり前になっています。また冬もとても寒い日が続くなど、室内でのエアコンの使用は必須だと思います。
しかし、そんな気温の中もしもエアコンにトラブルや故障が起きたらと思うと、少し怖いですよね。
実は、エアコンのトラブルにとても多いのがドレンホースと呼ばれる部分からの”水漏れ”や”つまり”だと言われています。
今回はドレンホースとはなにか、またドレンホースにまつわるエアコントラブルや劣化対策などについてご紹介します。
ドレンホースの役割とは?
そもそもドレンホースとはなにか、またその役割についてです。
ドレンホースとは、冷房使用時などにエアコン内部で結露によって発生した不要な排水を排出するという重要な機能を担っているホースです。
一般的にポリエチレン、あるいは塩化ビニル(塩ビ)製などでできています。
エアコン内では部屋の湿った空気が取り込まれ、それが熱交換器に急激に冷やされることによって結露が発生します。
この結露は、一旦ドレンパンという受け皿に集められて一定量を超えるとドレンホースを伝って外に排水されるという仕組みになっています。
ドレンホースはどこにあるの?
室内のドレンホースは、ほとんどがエアコン本体の下部や横(左右どちらか)から出ています。ホースが右側から出ている場合を右だし、左側から出ている場合を左だしと言います。
また、本体後方から直接貫通穴(室内機から出たドレンホースを外に通すための穴)や隠ぺい管(壁の中に配管を隠した特殊な施工)を介して外に繋がっている場合もあります。
室外に出たドレンホースは、自然に水が流れるために勾配がつけられ、付近の排水溝などに水が流れる仕組みとなっています。
ドレンホースの種類と関連品
エアコンの排水機能という重要な役割を担っているドレンホースですが、そんなドレンホースにもいくつかの種類や関連品があるのをご存じでしょうか。
ドレンホースの種類
ドレンホースには、通常のドレンホース(昔から使用されていた単層構造のホース)の他に、大きく分けて2つの種類があります。
- 2層ドレンホース
- 断熱ドレンホース
2層ドレンホース
2層ドレンホースは、従来の1層(単層)のドレンホースに対して、特殊な2層構造になっているドレンホースです。
このドレンホースは、中の黒い層が特殊な素材で作られており、耐候性、紫外線からの影響に強いです。
ホースの設置だけで劣化対策をとることができるため、通常のホースにするよりオススメです。
断熱ドレンホース
断熱ドレンホースは、主に室内用に使われるドレンホースです。
エアコン内部の熱交換器に結露した水は室温よりも冷たいので、断熱ドレンホースではないホースを室内用に使用すると、水が流れる際にホース表面が結露によって水垂れしてしまいます。
そこで、断熱ドレンホースを使用することによって結露しにくくなり、室内のドレンホースまわりが濡れてしまうなどの問題を防ぐことができます。
こちらのドレンホースには耐候性はありませんので、屋外のドレンホースなどに使用しないようにしましょう。
関連品
ドレンホースの関連品はとても多いのですが、取り付けるだけでエアコンの問題や悩みを解消してくれるアイテムもあります。
- ジョイント(ソケット)
- サドル
- キャップ
- 逆止弁
- 化粧カバー
- テープ
- パテ
- ドレンポンプ(サクションポンプ)
ドレンホース補修器具(ジョイント・テープ・パテ)
まずは、経年劣化や破損の補修のための器具についてです。
代表的なものに、ジョイント(ソケット)、テープ、パテの3つの器具があります。
ジョイントはドレンホースを延長する際に、ホースとホースを接続するために使います。
テープは破損箇所に巻くことで、空気や水漏れ、異物の混入を防ぎます。
パテはドレンホースを通す際の壁穴を塞ぐために使用します。
破損の状況などに応じてそれぞれの器具を適切に使用するようにしましょう。
ドレンホースお役立ち器具(サドル・キャップ・逆止弁・ドレンポンプ / サクションポンプ)
次に既設のドレンホースに取り付けたり、つまりなどのトラブルが起きた際に簡単につまり除去、エアコン本体の問題や悩みを解決してくれる器具についてです。
まずはサドルについてです。
サドルとは、長いドレンホースを壁伝いなどに這わせるための固定器具です。
屋外に無造作に設置されたドレンホースは見た目も悪いですし、ホースを踏んだり足に引っかかったりして、破損やケガの原因になるかもしれません。
そこで、このサドルを利用して壁伝いにホースを固定すれば、見た目もスッキリしてキレイですし、ケガなどの危険もなくなります。
また、サドルは排水のために勾配を付けた状態でホースを固定するためにも用いられます。
屋外のドレンホースが長く垂れ下がっていたり、地面に無造作に設置されているような場合は、サドルを設置して邪魔にならない場所への固定をオススメします。
次にキャップです。こちらは防虫のための器具で、ドレンホースの排水口に取り付けて蓋をするものです。
ドレンホースは外にあるだけではなく、水が流れることによって湿気もあり中が空洞になっています。
このような環境は虫たちの格好の住処、侵入経路になりえると言えます。
そこで、このドレンホース用のキャップを取り付けておけば、虫がホース内に侵入することを防げます。もちろん、エアコンからの排水もきちんと流れるつくりになっていますので、取り付けておいて損はないでしょう。
次に逆止弁(逆流防止弁)ですが、こちらの器具も虫の侵入を防ぐという要素がありますが、最大の魅力はエアコン使用時のポコポコ音を解消してくれるという点です。
エアコン使用時のポコポコ(ポンポン)音の原因
エアコン使用時、独特のポコポコ(ポンポン)といった音が鳴っているのを聴いたことがある方は多いかと思います。特に、静かな部屋だと一層音が際立ってうっとうしいと感じることも…
この音の原因は、エアコン使用時に窓などを閉め切ることによって、気密性の高くなった部屋内でエアコンから屋外へ通っているドレンホースが空気の通り道となり、屋外の空気が入ってくる(空気が逆流)ことで排水がスムーズにいかずポコポコと音が鳴っていることです。
そこで、空気などの逆流を防ぐ逆止弁を設置することによって、気密性の高い部屋でエアコンを使用しても、空気が屋外から入ってくることを防ぐことができ、ポコポコと気になる音が鳴ることも解消されるでしょう。
ドレンホース劣化対策器具(化粧カバー)
劣化対策用器具である化粧カバーは、取り付けるべきかどうかの判断が少し難しいです。
まず、室外に出たドレンホースについては、そのまま露出させておくより、こうしたカバーをつけることで劣化対策などにつながるでしょう。
また、室内のドレンホースは部屋内の景観を損ねることがあります。
化粧カバーを取り付けることによって、部屋をキレイにすることができます。
しかし、既設のエアコンに化粧カバーを後付けするとなると、新設機に取り付けるより、かなりの費用がかかってしまいます。
その理由としては、既設のエアコンを一旦取り外し、化粧カバーを付けたうえでもう一度エアコンを設置しなおす必要があるからです。
また、エアコン内には、エアコンを機能させる上でとても重要な冷媒ガスというものが循環しています。
こうしたガスの漏洩にも注意しなければならず、後付けで化粧カバーを付けるには費用がかかってしまいます。
どうしても部屋の景観やホースの劣化が気になる方は、なるべく新設時に取り付けるようにしましょう。
ドレンホースが引き起こす3つのエアコントラブル
「エアコンから水漏れしている」「エアコンからイヤなにおいがする」などといったトラブルが起きた際、思わずエアコン本体の故障を疑ってしまいがちです。しかし、エアコントラブルはドレンホースが起因していることがほとんどです。
では、具体的にドレンホースが原因のエアコントラブルにはどんなものがあるのか、3つほど例を挙げて詳しく説明していきます。
エアコンの水漏れはドレンホースのつまりが原因!
エアコントラブルで約8割を占めるのが、ドレンホース内が異物(ゴミや埃など)によってつまり、エアコン本体から水漏れが起きることだと言われています。
エアコンやドレンホースは、その構造上どうしても水や埃などがホース内に溜まりやすいと言えます。
定期的に掃除をすることによって、つまることを防ぐことができますが、掃除をせず放っておくとゴミや埃が溜まり、つまってしまいます。
また、ホース内がつまったとしても、エアコンからの排水が止まることはありません。
そうなってしまうと、水がどんどん溜まってしまい、ホース内から水が溢れ、エアコン本体から水漏れするようになってしまいます。
エアコンからのゴキブリ・害虫はドレンホースからの侵入!
「エアコンから虫がでてきた」といったトラブルも、決して少なくありません。
快適に生活するための機械から虫が湧くというのはショックではありますが、実は、屋外につながっているドレンホースは虫たちにとっては屋内への格好の侵入経路になっているかもしれません。
ドレンホースのように、湿気があり暗く狭い場所は、虫たちにはまさに楽園のような環境です。
部屋に侵入するだけでなく、ホース内やエアコン本体内に住み着いてしまうこともあり、つまり、水漏れなどの原因となる可能性があります。
ドレンホースに害虫などが入らないように、先述の防虫用キャップを取り付けるなどの対策をすることも大事ですが、もしもホース内に虫が入ってしまった場合は、こちらの記事の内容をご確認ください。
エアコンからの悪臭はドレンホースのつまりが原因かも?
エアコン使用時に、いわゆるカビ臭や埃っぽい臭いなどがしたら、エアコン内部のカビや埃が原因だと真っ先に疑うでしょう。
事実、「エアコンフィルターを掃除したら臭いが解消した」ということが多いかと思います。
しかし、稀に「フィルターを掃除したのに臭いがする」、更には「新品で購入したエアコンから臭いがする」ことがあります。
長年使用していたエアコンならまだしも、新品のエアコンからも悪臭がする原因とはなんなのでしょうか。
実は、そんなトラブルにもドレンホース内のつまりが関係しているかもしれません。
「フィルターは掃除したけど…」 ドレンホースも掃除しましょう!
エアコンは室内の空気を吸い込んで、それを冷たい風にして送風しています。
この”空気を吸い込む”力はとても強く、エアコンと直接繋がっているドレンホース内の空気も多少なりとも吸い込んでしまいます。
なので、フィルターを掃除しても、ドレンホース内に汚れやカビが残っている場合、エアコンの風と一緒に悪臭が届いてしまうことになります。
新品のエアコンから悪臭がする原因とは?
まだ一度も使ったことのないエアコンから悪臭がする場合、エアコン本体、ドレンホースではなく、室外のドレンホース付近の環境的要因があるかもしれません。
先述の通り、エアコンの空気を吸い込む力はとても強いので、室外に伸びたドレンホースの水の出口付近の空気まで吸ってしまいます。
そのため、ここに悪臭の原因となるようなもの(例えば生ゴミや排水溝)がすぐ近くにあると、その臭いをエアコンが吸ってしまいドレンホースを伝ってきてしまいます。
この場合は、ホースの排水口付近の環境を改善すれば、エアコンからの悪臭も解消されるはずです。
エアコン使用時における、臭いやその対処法、防止策について下記の記事でもご紹介しております。ぜひご確認ください。
ドレンホースのトラブルは掃除不足と経年劣化
ここまで、エアコントラブルに代表される3つの原因をご紹介してきましたが、もちろんこの他にも、エアコン設置時の施工不良(コーキング工事が十分でないなど)によるものや、経年劣化などがトラブルの原因として挙げられます。
ここまでの内容を大まかにまとめていきます。
ゴミや埃のつまり ⇒ 水漏れが起こる
掃除不足などによってゴミや埃がドレンホース内でつまると、エアコン本体から水漏れが発生する原因となります。
しかし、ゴミや埃は定期的に掃除することによって解消することができます。
ドレンホースの詳しい掃除方法などについては、下記の記事にてまとめておりますので、ぜひご確認ください。
風雨による破損 ⇒ つまりや害虫の侵入を招く
台風や地震などが多い近年では、そういった異常気象発生後にエアコンが急に不調になるケースも非常に多いです。
原因として強い雨や風によってドレンホースが破損してしまうということが挙げられます。
特に、夏に多い台風などが通り過ぎた後には、エアコン使用の前に必ず外のドレンホースなどが破損していないか確認するようにしましょう。
紫外線による劣化 ⇒ つまりや害虫の侵入を招く
屋外に設置されているということは、紫外線の影響にも日頃からさらされるということです。
長年に渡り紫外線の影響を受けたドレンホースは、変形してしまったり、ひび割れてしまいます。
破損してしまった箇所から異物や害虫が侵入すると、つまりなどの原因となってしまいます。
こうした紫外線による劣化対策には、後述する、塩ビ製のドレンホースや2層ドレンホースなどで対策することが有効です。
ドレンホースが原因のエアコントラブル対策は?
ドレンホースが原因のエアコントラブルにおける解決策や対策についても、それぞれまとめたいと思います。
定期的な掃除 ⇒ つまり対策
フィルターだけでなく、ドレンホースも定期的に掃除することによって、つまり対策や悪臭(主にカビや埃による)対策、劣化対策につながります。
キャップの取り付け ⇒ 害虫対策
ドレンホースの排水口に防虫用のキャップを取り付けることによって、虫がホースを伝って部屋内に侵入することを防ぐことができますし、虫が原因でホース内がつまることも対策できます。
化粧カバーの取り付け ⇒ 劣化対策
屋外の場合、化粧カバーを取り付けることによって、紫外線や風雨にさらされることがなく、劣化対策につながります。
また、屋内の場合、むき出しになっていたり、垂れていたりするドレンホースをカバー内に収納することによって、景観を守ることができます。
ドレンホースは定期的な交換が必要?
一般的に、ドレンホースの寿命は3~5年ほどと言われています。
それ以上の年数で使用していると、劣化などによって突然トラブルが起きるかもしれません。
また、風雨などによって、修復が不可能なくらいに破損してしまったドレンホースは、交換するようにしましょう。
交換する際も、元々、1層型やプラスチック製のドレンホースを設置していた場合は、より耐久性が高く紫外線などの影響にも強い、ポリ塩化ビニル(塩ビ)製のホースに買い替えるなど、いくつかのポイントがあります。
ドレンホース交換の費用
ドレンホース自体は、ホームセンターやネットショップなどで数千円程度で購入することができます。
業者に交換を頼むとすると、だいたい1万円程度の費用がかかります。
軽度の破損や劣化の場合は、個人で補修や交換をする方がいいかもしれません。
また、ドレンホースが左だし(左側から出ているか)の場合、右だしの場合よりも金額がかなり違ってしまいます。
この理由としては、エアコンの配管はほとんどが右側に集中しており、右だしの場合は特に加工などをせずまっすぐホースを出せますが、左だしの場合はエアコン内で配管取付部分を左に曲げるなどの加工をするためにエアコン本体を外す必要があります。
そのため、右だしの場合よりも費用がかかってしまう可能性が大きいのです。
こうしたこともあるため、業者に修理などを依頼する場合は、実際に現場まで来てもらい、見積りを取ってから作業を依頼することをオススメします。
街の修理屋さんの料金
街の修理屋さんでの過去のご依頼では、1件あたり1万円前後の料金で作業を完了しています。(先述の右だしや左だしの場合や、エアコンの状態によって料金は変わることもあります。)
個人でドレンホースを交換する場合
個人でドレンホースを交換する場合、新しいドレンホースはもちろん、関連品欄でご紹介したジョイントやテープを用意する必要があります。
また、交換するといっても、エアコンから出ているドレンホース全体を取り換えなければならない場合などは、やはり配管に配慮しながらの作業となりますので、業者などのプロに頼むようにしましょう。
下記の記事で、ドレンホース交換の手順などをまとめておりますので、ぜひご確認ください。
ドレンホースのトラブルは街の修理屋さんが解決!
今まで、「エアコンのフィルターは掃除したことがあったけど、ドレンホースは掃除したことがなかった」「ドレンホースというものを知らなかった」という方も、ドレンホースの定期的な掃除やメンテナンスの重要性がお分かりいただけたかと思います。
エアコンは室内機はもちろん、ドレンホースや室外機なども含めて1つの機械、設備です。
フィルターと同じくドレンホースも定期的に掃除することによって、エアコン使用時の快適さやトラブル解決につながります。
本記事では、ドレンホースとはなにか、またドレンホースにまつわるエアコントラブルなどについてご紹介しましたが、「自分で掃除をするのは面倒!」「掃除や対策をしてみたけどトラブルが解消されない!」という方は、街の修理屋さんにご相談ください。
また、その他のエアコントラブルにも幅広く対応しております。
下記のリンクから、弊社エアコントラブルのサービスについて、ぜひご確認ください。
※ページ内に掲載されている料金は作成日当時のものです。状況や時期により実際の料金とは異なる場合がありますので、詳細は電話でお問い合わせください。